経験とPコート

 先日飛行機に乗る機会があった。搭乗時刻は19時頃でもうこの時期になると空は真っ暗だった。1時間くらいの移動時間だったので「よし、睡眠時間に充てよう」と意気揚々と乗り込んだが、窓際の僕の座席に座ってみると送風機の真下でめちゃ寒い。なんとか調節しようと試みるも上手くいかない。ならば「よし、我慢しよう。」と意気揚々と目をつむったが、これが全く寝れそうにない。僕は前の座席の後ろ背に入っているフリーペーパーを読むか何も見えない真っ暗な外を観るしかなかった。

 非常に退屈な時間だ。

 

 1時間後、着地10分前のアナウンスが機内に響く。

 しかし、その時の僕は退屈ではなかった。

 僕は窓にかぶりつき完全に景色に見とれていた。着地に向け雲の下に出ていた飛行機の窓からは、大阪市内の夜景が一望できる環境だったのだ。それはあべのハルカスの展望フロアから観る景色とはまた違った素敵な景色だった。

 「お、あれはもしかしたら通天閣か。という事はあれがハルカスやな。」

 「梅田は車も混んでるし、ビルもいっぱいでギラギラしとんなぁ。あ、海遊館の観覧車や。」

 もう楽しい、楽しい。

  きっとグッスリ1時間仮眠を取っていても有意義な時間になったのだろう。

 もし「絶対に寝たいんや!」と星野仙一もビックリの執着心を持って目をつぶっていたら、また違った1時間になっていただろう。同じ機内に乗っていた数十名の乗客の中で、僕は確実に有意義な移動時間を過ごせた派閥に所属する事が出来たはずだ。

 つくづく、どんな経験をどう過ごすかで退屈になったり面白くなったり。。。不思議なもんだと思った1日となった。

 

ちなみに、機内のフリーペーパー内でプレゼント品として掲載されていた「ロングP・コート」。商品紹介欄の「ロングP・コートとは・・・」に続く紹介文が「一般的なP・コートより長いP・コートです。」というもので、久しぶりにアホ全開な文章を見れた事も、有意義な時間を演出してくれた。